「毒親」の正体/水島広子【感想・書評】

「自分の親はこうだけれども、他の家庭の親は一体どのようなものなんだろう?」

タイトルを見たときに、パッと浮かんだ思いが本書を手に取るきっかけになりました。

中学や高校のときって自分の家庭しか知らないものだから、他の家庭がどんなものか友達の家に遊びに行くくらいでしか知ることがないと思います。

また、「自分の家が全て」なので他の家庭の状況がどのようなものか興味がなかったし、知ろうともしませんでした。

この記事を読むことで、精神科医である水島広子さんの考え方(の一部といった方が正解でしょうか)、また毒親に育てられた人がどのように回復していくのかが分かります。

この本を選んだ理由は?

きっかけは前述した通りですが、この本を選んだ理由を改めて言葉にしてみます。

理由は4つありました。

  1. 世間にはどのような親がいるのか?
  2. 自分の育ってきた環境を振り返り、これからどう親と接していくのか?
  3. 著者である水島広子さんがどのように毒親を捉えているのか?
  4. そもそも毒親とは?

これらのことを知りたかったからです。

著者の水島広子さんてどんな人?

対人関係療法という心理療法を扱う、精神科医の医師です。

今回読んだ『「毒親」の正体』以外にも、『正しく知る不安障害~不安を理解し怖れを手放す~(ぐっと身近に人がわかる)』『対人関係両方でなおす うつ病:病気の理解から対処法、ケアのポイントまで』という本も出されています。

水島さんの本は、精神的に不安を感じやすい人、あるいは自分は不安を感じやすいのだけれど、「これって精神医学から見たらどうなの?」という疑問を持っている方におすすめ。

また、自身の性格について多角的に理解したいという方にも。

水島さんは他にも「アティテューディナル・ヒーリング」というアメリカで始まったサポートグループにも参画しており、その核である考え方は個人的に共感するものがあります。

以下はアティテューディナル・ヒーリングジャパンのHPより抜粋。

アティテューディナル・ヒーリング(AH)というのは、心の平和を唯一の目的とし、自分の責任で心の姿勢(アティテュード)を選び取っていくというプロセスです。

恐怖や不安、怒りや自責の念という感情にとらわれて「敵」のいる人生を過ごしていくのか、それとも、こういった感情を手放して無条件の愛を感じながら生きるのか、という選択は、個人の力で自由にできるという信念がその根底にあります。

前者の心の姿勢を「怖れ」と呼び、後者を「愛」と呼びます。「怖れ」を否定するのではなく手放すことが、アティテューディナル・ヒーリング(AH)の中核です。

宗教ではありません。

AHの考え方も、このブログで書いている「どんなふうに世界を捉えるのか?」という前提の選択肢の一つになると思いますので、ご参考までに。

『「毒親」の正体』で印象的だった内容は?

印象的だった箇所を引用します。

※なお、書籍内では「最初から順番に読んでほしい」という水島さんの意向があることを事前にお伝えしておきます。その意向があることを踏まえて、ここではかいつまんで引用しています。)

本文からの引用

実際は、昔のことを蒸し返すのはとても大切なことです。過去にどんな対人関係を持っていたかが、その人が他人をみるときの「フィルター」を作るからです。

そのために、親との絶縁が必要となる場合もあるでしょう。自分を散々傷つけて育ててきたくせに、さらに金銭の無心に来るような親などは、遠ざけるべき親だと思います。

そうやって親と絶縁すること、「ゆるし」とは、両立することなのです。「ゆるし」のためには、その妨げになるものを排除していく必要があるからです。

つまり、ここでお話ししている「ゆるし」とは「親の行為」に対してではなく、「自分」に対して行われるものと言えます。

※「ゆるし」の定義

「癒し」とは、その定義が「自分の心の平和」であることからもわかるように、自分をこれ以上傷つけないということです。過去を思い出す度に自分を傷つけるのをやめる、ということです。

思い出す度に自分が傷つかずにすむようになることを、AHでは「ゆるし」と呼びます。(本文より引用)

愛着スタイルを癒すもう一つの手は、人を助けるということです。自分が恵まれていないのに、人に助けを差し伸べるとはどういうことか、と思う方もいらっしゃると思います。

しかし実際に、治療者、看護師、様々な療養指導士や介護者、教育者、ハローワークの職員などの対人援助職に就き他人を助ける行為を通して、自分の不安定な愛着スタイルを乗り越えていく人もいます。

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なお、「親になること」も一つの「与え方」です。

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子どもは、本当に無条件に愛しているのです。子どもとよい関係を築いていくことは、「毒親」からの被害を帳消しにするほどの効果があるのです。

「毒親」との家族ももちろん家族なのですが、新たな家庭を持つことは、愛に根ざした環境を自分で作ることができるということです。

子どもに愛情を与えれば与えるほど、「私は『毒親』から定義づけられた『価値のない人間』などではなく、愛にあふれた人間なのだ」という認識を深めることができます。自己信頼につながるのです。

以上、引用でした。

引用部分に対しての感想

実際の臨床例も本に記載されているので、引用部分だけ見てもらうのはやや乱暴な感じがしますが、印象的だったところを抜粋して感じたのは、「自分を理解しようとし、できることから始めていくことは自分を育てていくことにつながる」ということです。

辛い経験があったことは事実として残りますが、それとは異なるステージとして。

その事実は認めながら。

それとは異なるステージとして、自分の状況を知って自分の気持ちと向き合い、できるなら何か意識を外に向けて誰かに貢献することが、自分を縛っている考え方から自ら解放していくことにつながるのだと思うと、勇気が湧いてきました。

人との関係の中で変化していくのは、その人自身が自分を回復させていく力を持っているということだと思います。

同時に「人を助けること」「親になること」が自分を変化させていくことにつながるのは不思議だなと思いました。

そのことについてもより体験していきたいし、知っていきたい。

まとめ

全体的にアティテューディナル・ヒーリングの考え方を採用しておられるからか、温かさを感じました。

また、途中の章では「ここまでお話ししてきた内容が、理屈で理解できた方、努力の方向が見えたと思う方は、このまま読み進めてください。そうでない方、例えば「この著者は何もわかっていない!」という怒りすら感じている方は、しばらくの間、本書を本棚に寝かせておいてください」というコメントまで添えられていて、細やかなサポートができる方なのだなと感じます。

水島さんの本は、他の本も温かみがあって相手を尊重する意志が感じられるので、ご自分のことも大切にされているのだろうなと思います。

考え方の一つのサンプルとして、ぜひ読んでみてください。

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P.S.書評の書き方に関しては以こちらのブログを参考にさせていただいています。

http://bakadoku.com/syohyou-kakikata

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ABOUTこの記事をかいた人

親子なのに「理解できない」を解決するカウンセラー | 離散家族だったところから両親と再会し、それまでの後悔と疑問が解けた経験から、関係改善までのコミュニケーションプロセスをアドバイスしています / 父とは所在地不明なところから再会しました / NLPマスタープラクティショナー